都内にも複数の事務所があります
こちらの地図でご確認いただけるとおり、都内にも複数の事務所があります。当事務所は銀座にあり、周辺にある複数の駅から徒歩圏内という立地です。
自己破産をする場合の流れ
1 自己破産の流れの概要
借金が増えすぎてしまい返済ができなくなってしまったような場合には、まず弁護士に自己破産のご相談をすることをおすすめします。
弁護士にご事情をお話しいただき、自己破産をすべき状況であると考えられる場合には、自己破産のご依頼をしていただきます。
ご依頼いただいたら、まずは債権者へ受任通知を送付するとともに、自己破産の準備を行います。
自己破産の準備と弁護士費用の積み立てが終わったら、裁判所に自己破産の申立てをします。
自己破産の申立てをすると、裁判所による書類審査等が行われます。
書類等の内容に問題がないと判断された場合には、破産開始決定がなされます。
同時廃止事件になった場合、特に問題がなければ一定期間後に免責決定がなされ、さらにその後免責決定が確定して終了です。
管財事件になった場合には、破産管財人による事情聴取や財産の換価が行われ、債権者集会、免責審尋が行われます。
免責決定がなされた場合には、一定期間後に免責決定が確定して終了となります。
以下、自己破産の流れについて詳しく説明します。
2 弁護士へ自己破産の依頼~自己破産申立て
弁護士に自己破産をご依頼いただくと、まず弁護士からすべての債権者に対して受任通知という書面が送付されます。
貸金業者等の債権者は、受任通知を受け取ると債務者の方への請求を一旦停め、債権届を弁護士に提供します。
その後、弁護士費用を一括でご用意いただくことが難しい場合には、毎月一定金額の積み立てをしていただきます。
費用の積み立てと並行する形で、自己破産に必要な書類の作成や収集を行います。
自己破産を申し立てるためには、申立書のほか、債務者の方の過去数年分の預金通帳の写し、申立て前数か月分の家計表、給与明細や課税証明書の写し、不動産登記や自動車車検証の写しが必要となります。
3 自己破産申立後
弁護士費用の積み立てが終了し、自己破産申立てに必要な書類が揃ったら、裁判所に自己破産の申立てをします。
申立後、裁判所による書類の審査等が行われ、内容に問題がないと判断された場合には、破産手続開始決定がなされます。
債務者の方にめぼしい財産がなく、免責不許可事由もないと考えられる場合には、同時廃止事件になります。
同時廃止事件になった場合、概ね1~2か月後に免責決定がなされます。
これにより、借金の返済義務は免除されます。
さらにその約1か月後、免責決定が確定し、自己破産は終了します。
管財事件になった場合には、破産管財人との面談や、財産の換価・配当、債権者集会、免責審尋などが行われます。
免責審尋後、特に問題がない場合には免責決定がなされ、その約1か月後に免責決定が確定します。
自己破産を弁護士に相談するタイミング
1 自己破産を弁護士に相談するのは早い方がよい
自己破産に限ったことではありませんが、借金問題を含めて、法律に関するお悩みをお持ちの場合には、できる限りお早めに弁護士に相談することが大切です。
何らかのご事情によって借金の返済が困難となり、自己破産をしなければならないとお考えであっても、早い段階であれば複数の選択肢から方法を選ぶことができる可能性があります。
また、借金の金額や、収入・支出の状況から、返済が不可能になってしまう、自己破産をせざるを得ないと考えられる状態であっても、時間が経過してしまうと事態は悪化の一途をたどりますので、早めの対応が必要となります。
以下、詳しく説明します。
2 早い段階であれば複数の選択肢が残されている可能性がある
自己破産は、基本的には、債務整理の中でも最終手段という位置付けとして考えられます。
自己破産は、借金の返済義務が基本的にはなくなる一方で、手続きに時間や手間がかかる、自己破産をしたことが官報に掲載される、職業によってはお仕事を続けられなくなることがあるなど、債務者の方の不利益も大きい債務整理の手法です。
まだ債務額が大きくなりすぎていない段階や、生活費の見直しによって返済原資の確保が可能な段階であれば、任意整理など他の債務整理手法を選択できる可能性があります。
3 自己破産をせざるを得なくても早めの対応が必要
債務額や、収入・支出の状況からみて自己破産をせざるを得ない状況であっても、早めの対応をとる必要があります。
滞納をしてしまい、それが長期に及んでしまうと、貸金業者等によっては、債権の回収をするために訴訟を提起することがあります。
訴訟が提起された場合、何も対応をしないでいると判決が確定してしまいますので、答弁書を作成するなどの対応が必要となります。
そして、もし何も対応をせず判決が確定してしまうと、今度は強制執行がなされる可能性があります。
強制執行によって給与が差し押さえられてしまうこともあり、そうなると生活に大きな影響が出てしまいます。
動かせるお金が減ることで、自己破産のために必要となる費用の準備まで難しくなるおそれもあります。
このような事態に陥ることを回避するためにも、できるだけ早く弁護士に自己破産の相談をし、裁判所へ自己破産の申し立てをする必要があると考えられます。
自己破産の手続きにかかる期間
1 自己破産手続きにかかる期間の概要
自己破産にかかる期間は、費用の積み立ての状況や、管財事件になるか否かといったことで大きく変わり、3か月~1年6か月程であると考えられます。
自己破産は、弁護士に依頼をして貸金業者等からの請求を停めた後、弁護士費用の積み立てと資料作成、裁判所への申立書等の提出、裁判所や管財人による調査や審査、債権者への配当等を経て、免責許可がなされることで終了する手続きです。
以下、自己破産手続きの流れに沿って、かかる期間について説明します。
2 弁護士への依頼~自己破産申立て
弁護士に相談をして、自己破産をすると決まった場合、まず弁護士から債権者に対して受任通知を送付します。
その目的は、債務者に対する請求を止めてもらったうえで、正確な債権額を届け出てもらうことです。
その後、弁護士費用の積み立てと、債務者の財産や収支に関係する資料の収集・書類の作成を並行して行います。
弁護士費用や、管財事件になることが予想される場合には予納金の積み立てといったものにかかる期間は、債務者の方の収入と支出の状況にもよりますが、一般的には1~10か月程度です。
自己破産の申し立てに必要な書類は、裁判所の運用によってもある程度変わりますが、主なものとして、自己破産申立書、過去数年分の預貯金通帳の写し、保険証券と解約返戻金額計算書、自動車の車検証の写し、不動産の査定書と登記事項証明書、過去数か月分の家計表、給与明細または確定申告の控え、源泉徴収票と課税証明書等が挙げられます。
ギャンブルや浪費によって借金を作った場合には、反省文等を書くこともあります。
これらの収集、作成には、一般的には3か月程度を要します。
弁護士費用の積み立てが終わり、書類の収集・作成ができたら、管轄の裁判所に対して自己破産の申し立てをします。
3 自己破産の申立てと審査
自己破産の書類等が提出されると、まず裁判所は形式面についての書類審査を行います。
そして、足りてない書類等がある場合には修正等を求めます。
その後、裁判所は、提出された資料をもとに、自己破産に至った事情等を審査します。
詳しく事情を確認したい点については、債務者や代理人に釈明を求めることもあります。
その後、債務者にめぼしい財産がなく、かつ免責不許可事由もないと考えられる場合、破産手続きの開始および同時廃止の決定をします。
そうでない場合には、管財事件とする決定をし、破産管財人が選任されます。
自己破産の申し立てから、ここまでに要する期間は、1か月程度です。
4 免責許可決定
同時廃止の決定がされた場合には、債権者による意見申述期間を経て、特に問題がなければ免責許可決定がなされ、確定後に手続きは終了します。
同時廃止の場合、同時廃止の決定から免責許可決定までの期間は2~3か月程度となります。
免責許可決定から約1か月後に免責許可決定が確定し、すべて終了します。
破産管財人が選任された場合、予納金の納付をすることで、破産手続の開始決定がなされます。
その後、破産管財人による財産調査・評価、免責不許可事由の調査、財産の換価配当等を経て、債権者集会、免責審尋等を経て、裁判所が問題ないと判断すると、免責許可決定がなされ、確定後に手続きが終了します。
管財事件の場合、破産開始決定から免責許可決定までは、3~6か月程度を要します。
免責許可決定から約1か月後に免責許可決定が確定し、すべて終了します。
自己破産で相談をする際に必要な情報
1 自己破産のご相談でお聞かせいただきたい情報の概要
結論から申し上げますと、自己破産のご相談をされる際に必要な情報は、①債務の返済ができなくなってしまった経緯・理由、②債務者の方の財産状況、③自己破産後の経済的更正の見通しの3つです。
自己破産をせざるを得ないとお考えの方のご事情は様々ですが、裁判所における自己破産手続きをするためには、どの方にも共通してこのような情報が必要となります。
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 債務の返済ができなくなってしまった経緯・理由
債務の返済ができなくなってしまった経緯や理由は、自己破産を申し立てた際に同時廃止になるか管財事件になるか、および免責が許可されるか否かを分ける、非常に重要な情報となります。
債務の形成原因(借金をした理由)と、その返済ができなくなってしまった経緯は、裁判所が免責を認めてよいかどうかを判断する際に必要な情報であり、自己破産の申立書にも記載する必要があります。
例えば、事故や病気、勤務先の倒産など、収入が途絶えてしまい生活のためにやむを得ず多額の借入をせざるを得なくなり、その後も収入を得ることが困難であったという事情の場合には、免責が認められやすくなります。
反対に、ギャンブルや浪費によって多額の借金をしてしまったような場合(免責不許可事由がある場合)には、原則として免責が認められません。
このような検討をするために、債務の返済ができなくなってしまった経緯・理由を、できるだけ詳細にご説明いただきます。
3 債務者の方の財産状況
自己破産は、原則としては、債務者の方が所有する財産を破産管財人が換価し、その売却金等を債権者への返済に充て、それでも返済しきれなかった分については免責されて支払い義務がなくなるという手続きです。
もっとも、債務者の方が、換価処分をするだけの価値のある財産を保有していないと考えられる場合には、破産管財人が選任されることなく、破産手続きの廃止と免責がなされることがあります。
これを同時廃止事件といいます。
同時廃止になるか否かで、債務者の方の金銭的負担や時間的負担の見通しが大きく変わることから、債務者の方の財産の状況に関するすべての情報をご提供いただいております。
4 自己破産後の経済的更正の見通し
自己破産(免責)の制度が設けられている目的のひとつに、債務者の方の経済的更正があります。
つまり、免責が認められるためには、自己破産後に家計が立て直され、再び返済不能に陥ることがないといえることが大切です。
その判断要素のひとつとして、現在の手取り収入と支出の状況があります。
自己破産の申し立ての際には、過去数か月分の家計表を作成し、裁判所に提出する必要がありますので、ご相談の時点で、一月あたりの手取り収入と支出についても確認します。
仮に毎月の収支が赤字である場合、自己破産をしたとしても、生活のために再び借り入れをせざるを得ないことが予想されるため、自己破産の申立ての前に、収支の見直し・改善の提案をするといった対応をする必要があります。
自己破産の相談ではどんなことを話すか
1 自己破産の相談で弁護士に話すべきこと
結論から申し上げますと、弁護士に自己破産のご相談をされる際には、借金が増えすぎてしまった理由・経緯、現在の債務額、収入と支出、財産の状況、自己破産後の生活の立て直しの見通し等さまざまなことについてお話をしていただきます。
これらの情報を元に、弁護士は自己破産を選択すべきかどうか、自己破産を申し立てた後に免責が許可されるかどうか等について見通しを立てます。
以下、ご相談の際にお話しいただくことについて詳しく説明します。
2 借金が増えすぎてしまった理由・経緯
自己破産をお考えであるということは、借金が増えすぎてしまい、返済できないという状況に陥っていらっしゃると考えられます。
そこで、まずは借金をしてしまった理由と、その後返済ができなくなってしまうに至った経緯についてお話しいただきます。
この借金の理由は、自己破産で免責が許可されるかを左右する重要な要素です。
なぜなら、自己破産は、借金を作ってしまった理由によっては、免責が認められないということがあるからです。
代表的なものとしては、贅沢品の購入や、ギャンブルにお金をつぎ込むために借金をしてしまったというものが挙げられます。
借金をして、返済ができなくなるに至った経緯は、自己破産を申し立てる際に裁判所に提出する書面に記載する必要があります。
免責が認められない可能性がある事情がある場合にも正直に記載し、併せて深く反省している旨や、具体的な再発防止策を講じていることを説明することで、免責が許可される可能性もあります。
これらのことから、面談の際には、借金が増えすぎてしまった理由・経緯について、できるだけ詳細かつ正直にお話しいただければと思います。
3 現在の債務額、収入と支出、財産の状況
自己破産は、返済が不能と考えられることが要件のひとつとなっています。
そこで、債務総額と、返済原資(手取り収入から生活費の支出を控除した残額)を比較し、返済が不能といえるかどうかをまず確認します。
返済が不能とまではいえない場合には、他の債務整理の手法を検討することになります。
返済が不能といえる場合、次に相談者の方が所有している財産についても確認をします。
ご自宅や生活上必要な自動車を所有している場合、自己破産をすると失う可能性があります。
どうしてもこれらの財産を手放せない事情がある場合には、自己破産以外の借金整理の方法を検討することもあります。
4 自己破産後の生活の立て直しの見通し
自己破産の制度の存在目的のひとつに、経済的更正というものがあります。
これは、債務の返済を免責することで、生活の立て直しをできるようにするというものです。
逆の見方をすると、借金の返済がなくても家計が赤字となってしまっている場合には、せっかく免責を許可しても、また借金が膨れ上がってしまうことから、免責を認めることができないということになってしまいます。
もし家計が赤字になっているようでしたら、事前に生活費の削減や、公的な補助を受けるなど、家計の改善の検討も必要になります。