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自己破産から復権までの期間と流れ
1 自己破産から復権までの期間
自己破産を申し立てると、一旦破産者とされ、職業や資格などについて、法的な制限を受けることになります。
そして、一定の要件を満たすことで、この制限がなくなります。
このことを復権といいます。
復権がなされるパターンはいくつもありますが、サラリーマン等の方の自己破産(いわゆる消費者破産)のケースにおいては、自己破産申立てから復権までにかかる期間は、同時廃止の場合で3~4か月程度、管財事件で4か月~1年程度であると考えられます。
以下、復権の条件と、自己破産申立てから復権までにかかる期間について詳しく説明します。
2 復権の条件
⑴ 免責許可が確定した場合
⑵ 債権者全員が同意し、破産手続きの廃止が確定した場合
⑶ 個人再生手続きにより再生計画認可決定が確定した場合
⑷ 破産手続開始決定後、詐欺破産罪の有罪判決を受けず10年経過した場合
⑸ 債権者に債務をすべて返済した後、復権を申し立てた場合
【参考条文】(破産法)
(復権)
第二百五十五条 破産者は、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、復権する。次条第一項の復権の決定が確定したときも、同様とする。
一 免責許可の決定が確定したとき。
二 第二百十八条第一項の規定による破産手続廃止の決定が確定したとき。
三 再生計画認可の決定が確定したとき。
四 破産者が、破産手続開始の決定後、第二百六十五条の罪について有罪の確定判決を受けることなく十年を経過したとき。
(第2項以下略)
(復権の決定)
第二百五十六条 破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときは、破産裁判所は、破産者の申立てにより、復権の決定をしなければならない。
(第2項以下略)
参考リンク:e-gov法令検索(破産法)・復権3 復権までにかかる期間
⑴ 免責許可が確定した場合
一般的には、このケースが最も多いと考えられます。
いわゆる消費者破産のケースにおいては、自己破産申立てから免責許可の確定までにかかる期間は、同時廃止の場合で3~4か月程度、管財事件で4か月~1年程度であると考えられます。
⑵ 債権者全員が同意し、破産手続きの廃止が確定した場合
これは、実務上はとても稀なケースであると考えられ、債権者全員が同意するタイミングによって、復権までにかかる期間は異なります。
⑶ 個人再生手続きにより再生計画認可決定が確定した場合
これは、自己破産で免責許可がなされない場合に、改めて個人再生の申立てを行ったケースです。
この場合、自己破産の申立てから復権までの期間は1年以上となることもあります。
⑷ 破産手続開始決定後、詐欺破産罪の有罪判決を受けず10年経過した場合
自己破産で免責許可がなされなかった場合に、何もしなかったとしても、詐欺破産罪の有罪判決を受けないまま10年が経過すれば、復権となります。
⑸ 債権者に債務をすべて返済した後、復権を申し立てた場合
免責許可がなされなかったものの、その後債務をすべて弁済した場合には、その旨を裁判所に申し立てれば、復権となります。
すべて弁済するまでにかかる期間に加え、復権の申立てから、復権の決定がなされるまでに数か月を要します。